第2回 フロンガスの毒性に習う「五年先、十年先の不安」

第2回 フロンガスの毒性に習う「五年先、十年先の不安」


フロンガスという物質について、実際は昭和60年も過ぎる頃まで、教科書には「フロンは人体に無害・無毒で、無味乾燥、不燃、気化、液化が容易で、有機物(油)をよく溶かし、炭素-フッ素の結合が強く科学的に安定」と、まるで究極の発明品であるかのように紹介されていました。

ところが、昭和50年代の終わりに、南極の昭和基地で越冬していた日本隊が、南極上空のオゾン量が極端に減少している事を発見。追認したNASAも、あたかも穴が空いてるようだとこれを「オゾンホール」と命名。そしてやがて「オゾンホールができたのはフロン類の放出が原因」である事が判明したのです。

この事実には世界が驚きました。そして急遽フロン全廃に向けて動き出し、その代わりをする物質探しが始まりました。安全という確信があったフロンが地球規模で有害と分かった以上、使用を続けるのは環境破壊の加速しか呼び起こしません。

しかしながら、その後開発された数々の代用化学物質(HFC-125等)も、私の観点からしても相対的に急場しのぎの代替物となりうるとは思いましたが、決定的に究極の安全性を誇るものであるという保証はどこにも見当たらず、そういった化学物質の出現はもう絶対的にありえないと確信するようになりました。

そうした例は氷山の一角にすぎないのかもしれません。まだまだ規制の対象外になって世の中で使われている化学物質はいくらでもありますので、気がつかないうちにもっと多様な環境破壊が行われているのかもしれません。

五年先、十年先にどんなトラブルが起こるかわからない懸念は、潜在的に多々ありうるでしょう。これはフロンに限らず、あらゆる合成化学物質にちきまとう危険性なのです。これだから化学物質は怖いのです。